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番外編 第壱話 『 弐巴ちん 』

私の名は、弐巴

創造主の忠実なる僕 ── 『 十二使徒 』 と呼びなわされる者の一人 ・・・・・・ 一匹。

百獣の王と言われる雄の獅子よりも大きな体持つ闇色の四足獣。

私の名は、弐巴

ヒトの住む世界を創りたもうた偉大なる御方に仕える忠実なる僕 ── 『 十二使徒 』 と呼びなわされる者の一人 ・・・・・・ 一匹である。

黒曜石色の体毛に覆われた大型の四足獣として、主に創り出された。

その鼻は他の十二使徒の誰よりも多くの臭いを嗅ぎ分け、その耳は他の十二使徒の誰よりも遠くの音を聴き分けることが出来る。

恥ずかしながら、私の自慢である。

・・・・・・ 獣であれば当然のことだと?

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さて、私は大型の四足獣である。

この世界に住むヒトは、私と言う存在を最も的確に表す言葉として、『 ムアサドー 』 と言う魔物の名を使用している。 この魔物は黒い長毛に覆われ、燃える炎の両眼を持つ子牛程の大きさの妖犬だと言う話だ。 主がすこぶる機嫌のよかった時にお訊きした。

成程、私と言う者を表すには実に適切な呼称である。

・・・・・・ 怖がらずとも、私は無闇に他者に対して牙を剥くことはしない。 私は、その様に粗野な行動を安易に行うようには創り出されてはいないのだ。

私も人型を模していれば、何の誤解も与えずに済むのだが ・・・・・・ 如何せん、こればかりは仕方のないことである。 私は四足獣を模して主に創り出されたのだから。

他の十二使徒が全て人型を模しているのに対し、なぜ私だけが獣であるのか ── それは主のみぞ知ることであり、下僕の分際でその様な疑問を抱くことは、あってはならないことである。

今の私に、私は大変 ・・・・・・ 大変、満足、している。

自身で言うのも憚られるが、性格は至って温厚、主の命なき時は、余程己の身に危機が迫らぬ限りは吼えることもしない。

また、常日頃より自らの毛繕いを欠かさず、時には壱架嬢や七迦嬢が丁寧に整えてくれる、ヒトの世界の獣とは異なる存在の証である二尾と、艶を保った美しい毛並み。

ケダモノよりも高次の存在であること ── 私の自慢である。

過日、ヒトの世界に赴かれた主の供に就いた際に、主にもお褒め頂いた。

「 ボクの言う事は何でも聞くんだヨ! ボクに似て、すっごく頭がいいんだから 」

ハジメなる名のヒトの前で胸を張り、そう仰って下さった。

下僕の分際でありながら主に似ているなどと、何と畏れ多い言葉か。 私は大変鼻が高くなったのを覚えている。

「 へぇ。 よく躾られた犬なんだな、アルバーって 」

主の言葉に大変な感銘を受けた様子で、ハジメなる名のヒトはそう言って私の頭を撫でた。

そう、私は大変によく躾られた、い ──

・・・・・・ 私は、断じて 『 よく躾られた犬 』 などではない。

「 ワンちゃん 」 と呼ばれる言われも筋合いもない。

ヒトの世界で本来の姿でいることに不都合があるが故に、限りなく犬に近しい姿でいるとは言え ・・・・・・ ヒトの分際で私を軟弱な犬と同類視するとは。

私は犬ではない。

私は、四足獣である。 十二使徒が一匹である。誇り高き創造主の僕である。

幼子の姿をした主を背に乗せ、かの御方の代わりに歩くことが私の誇りとする仕事である。

であるから、私は決して低俗な犬共と同じ行動になど、出はしない。

「 そら、行くぞアルバー! 取ってこーい!」

ハジメなる名のヒトのかような言葉と共に、広い敷地の中央へ向けて投げ飛ばされた 『 ほねっこ 』 なる犬のおやつを、誰が取りに走るものか。

そう、あんな、緩い放物線を描いて遠くへと向かう魅惑の真白き骨などに、誰が!

私の視界の中央にしっかと捕らえられた骨に向かって、私は一度長く舌を突き出して牙を剥いてやった。 そして、嘲笑をハジメなる名のヒトへと向けてやるのだ。

誰が貴様の広げた手の中へこの骨をみすみす渡してやらねばならないと言うのだと、そう嘲る為に!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「 偉いぞ、アルバー!」

・・・・・・ なにゆえ、私は 『 ほねっこ 』 を私から奪い去ったハジメなる名のヒトに頭を撫でられているのであろう。

褒美として差し出された 『 びーふじゃーきー 』 なる物を咀嚼しているのであろう。

・・・・・・ これは実に美味い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・ 時折、私は分からなくなる。

しかし、我らが主はこう言う時、大変に満足した様子で私に微笑んで下さる。

それでいいのだと、そうすることが僕たる私のなすべきことなのだと、その眼差しが私に告げるのである。

・・・・・・ ああ、そう言うことなのだ。

そう、この私の行動は、主の命なのである。

恐らくは、この私の意に染まぬことでも、主の命であるが故に、創造主に創り出された私の本能が身体を動かすのである。

決して、自ら喜び勇んでかような行動に出ている訳ではない。 ハジメなる名のヒトの思惑に乗せられている訳でもない。

私の名は、弐巴。

創造主の忠実なる僕 ── 『 十二使徒 』 と呼びなわされる者の一人 ・・・・・・ 一匹。

百獣の王と言われる雄の獅子よりも大きな体持つ闇色の四足獣。

── 全ては主の御心のままに。

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いいんじゃない?いいねいいよいいよーGJ !最高 !!
Date
2007-09-19 00:00
Category
original / 『 Contract×Killer 』 / 小説 / 番外編
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